腸腰筋に鍼を打つとどうなる?鍼治療の実際とツボ押しとの違いを鍼灸師が解説

  • ストレッチしても腰の重さが戻ってくる…
  • マッサージでは奥まで届いていない気がする…
  • 腸腰筋に鍼って実際どうなの?

反り腰、股関節の付け根の重だるさ、座り続けたあとの腰の張り。腸腰筋が関わっていると聞いてストレッチを続けてみたものの、思ったほど変わらないという声をよくいただきます。

理由のひとつは、腸腰筋が体のかなり奥にある筋肉だからです。表面から働きかける方法では、届く範囲におのずと限りがあります。

東京日本橋のサクラサク鍼灸カイロプラクティック日本橋茅場町院にも、セルフケアで変化を感じにくくなってご相談にみえる方がいらっしゃいます。本ページでは、腸腰筋への鍼について、当院がわかりやすく解説させていただきます。

 

腸腰筋は手では届きにくい位置にある

腸腰筋がセルフケアで扱いにくい理由は、その位置にあります。

 

お腹の奥、背骨の前側から始まっている

腸腰筋は、大腰筋と腸骨筋という2つの筋肉をまとめた呼び方です。大腰筋は背骨の腰のあたりの側面から始まり、腸骨筋は骨盤の内側のくぼみから始まります。2つは合流して、太ももの内側上部にある小転子という出っ張りに付着します。

つまり、上端は背骨の前側。体の表面から見ると、内臓を挟んだ向こう側にあります。股関節を曲げる動作の主役でありながら、外から触れられる範囲がごく限られた筋肉です。

 

ストレッチやマッサージで届く範囲には限りがある

腸腰筋のストレッチとして知られるのは、片膝立ちで骨盤を前に押し出す動きです。筋肉を伸ばす方向としては正しく、続ける価値のある方法になります。

一方で、伸ばすことと硬くなった部分に直接働きかけることは別の作業です。表面から圧をかけようとすると、間にある腹部の組織にも同じだけ圧がかかります。奥に届かせようとするほど、手前への負担が増える構造。セルフケアで変化を感じにくくなる場面が出てくるのは、この点が背景にあります。

 

腸腰筋に鍼を用いるとどうなるのか

鍼が腸腰筋に用いられるのは、深さの問題を解決できるためです。

 

深い層へ直接アプローチできる

鍼は髪の毛ほどの細さで、手前の組織をほとんど押しのけずに通過していきます。表面から圧をかける方法とは違い、目的の深さまで達しても手前への負担が増えません。

硬くなっている部分に鍼が届くと、ズーンとした独特の感覚が出ることがあります。この響きを目安にしながら、施術者は深さと位置を調整していきます。筋肉がゆるむと股関節を曲げる動きが軽くなり、立ち上がりや歩き始めの感覚が変わったと感じる方がいらっしゃいます。

 

ツボ押しとは刺激が届く深さが違う

腸腰筋に対応するツボを指で押す方法も、セルフケアとしては有効です。手軽で、道具もいりません。

ただし、指圧で伝わるのは面の圧で、深さが増すほど分散していきます。鍼は点で届くため、同じ位置を狙っても届く層が変わります。どちらが優れているという話ではなく、役割が違うと考えてください。日々の維持はセルフケア、変化が止まったときに施術という使い分けが現実的です。

 

施術の流れと感じ方

はじめての方が気になるのは、何をされるのかと、痛いのかどうかという2点だと思います。

 

どのような姿勢で受けるのか

腸腰筋へのアプローチは、仰向けまたは横向きの姿勢で行うことが一般的です。お腹側から、あるいは体の側面から、腹部の緊張を避けられる角度を選んで刺鍼します。

施術前には、股関節を曲げる動きの確認、姿勢の観察、痛みの出る動作の確認などを行います。腸腰筋だけを見て終わりにすることはほとんどなく、腰やお尻、太もも裏の状態とあわせて判断していきます。片側だけが硬くなっているケースも多く、左右の差を確認したうえで方針を決めます。

 

痛みや刺激の感じ方

刺入そのものの痛みは、ほとんどの方が「ほぼ感じない」とおっしゃる程度です。蚊に刺された感覚に例えられることが多くなります。

硬い部分に届いたときの重い響きは、痛みとは別の感覚。慣れていない方には強く感じられることもあるため、当院では最初は浅めから始め、感じ方を確認しながら調整しています。施術後に一時的なだるさが出る場合もありますが、多くは1日程度で落ち着きます。気になる感覚があれば、その場でお伝えください。

 

受ける前に知っておきたいこと

腸腰筋への鍼は、どこでも同じように受けられるものではありません。

 

国家資格を持つ施術者が行う

鍼を用いた施術は、はり師の国家資格を持つ者だけが行えます。養成校で解剖学や生理学を学び、国家試験に合格した人が担当します。

腸腰筋の周囲には、腎臓、腸管、大きな血管、神経が位置しています。解剖学的な位置関係を踏まえ、深さと角度を判断する必要がある部位です。ご自身で鍼を扱うことはできませんし、資格のない施術者が行うこともできません。「腸腰筋 鍼 打ち方」といった調べ方をされる方もいらっしゃいますが、手技として学ぶ内容であり、セルフケアの範囲ではないとお考えください。

 

受けられない場合もある

出血しやすい状態にある方、血液をさらさらにする薬を服用中の方、妊娠中の方、発熱している方などは、施術内容の調整や見合わせが必要になります。腹部の手術歴がある方も、事前にお知らせください。

強い痛みが急に出た、足にしびれや力の入りにくさがある、じっとしていても痛む。こうした状態があるときは、まず整形外科での確認をおすすめします。鍼は体の状態を整える手段のひとつであり、原因の特定に代わるものではありません。

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施術とあわせて見直したいこと

施術で緩んだ状態を保つには、硬くなる条件そのものを減らす必要があります。

 

座っている時間と姿勢

腸腰筋は股関節を曲げる筋肉なので、座っている姿勢は縮んだ状態が続くことになります。デスクワークが長い方ほど、硬くなりやすい条件が揃います。

30分から1時間に一度は立ち上がり、股関節を伸ばす時間を作ってください。浅く腰かけて背もたれに寄りかかる姿勢は骨盤が後ろに倒れやすく、腰まわりの負担が増えます。座面に深く座り、足裏を床につける形が基本です。

 

動かす習慣を持つ

硬さをほぐすだけでなく、使える状態にしておくことも大切です。歩幅を少し広げて歩く、階段を使うといった日常の動作でも、股関節は動きます。

片膝立ちのストレッチも、施術後であれば以前より伸ばしやすくなっているはずです。反動をつけず、20〜30秒かけてゆっくり伸ばしてください。当院では、その方の生活に合わせたセルフケアもあわせてご案内しています。

 

最後に

腸腰筋は、近年一般の方にも広く認知される筋肉になってきました。ただし、それだけに腸腰筋だけを何とかすれば不調が改善するという「腸腰筋信者」のような人が増えているのも事実です。

まず、あなたの不調がどこから来ているのか?何が原因なのか?それは人によって違います。その原因を探すお手伝いをさせていただくのが我々専門家です。

まずは、あなたのお悩みをじっくり聞かせてください。お待ちしております。

サクラサク鍼灸カイロプラクティック 日本橋茅場町院